部門紹介
東京国際映画祭の上映作品は、多彩な主要11部門によって構成されています。
2025年1月以降に完成した長編映画を対象に、世界各国・地域の応募作品の中から、厳正な審査を経た15本の作品を期間中上映します。今年は108の国と地域から1,970本もの応募がありました。国際的な映画人で構成される審査委員のもと、クロージングセレモニーで各賞が決定されます。
合言葉は"アジア発、世界へ!未来へ!"ー2013年の第26回TIFFから始まった「アジアの未来」部門は、長編3本目までのアジア(日本・中東を含む)のフレッシュな作品を世界に先駆けて上映するアジア・コンペティション部門です。最優秀作品に贈られる「アジアの未来 作品賞」をめざし、日本映画2本を含む、すべて世界初上映(ワールド・プレミア)の10作品が競い合います。今年はコンペ外の特別オープニング作品も1本あります。
日本公開前の最新作をプレミア上映します。今年、世界の映画祭で話題になった作品、国際的に知られる巨匠の最新作、本国で大ヒットした娯楽映画など、映画祭を盛り上げる作品13本を上映します。
現在の世界の映画界の潮流を示す作品を上映します。また外交樹立130周年記念のブラジル映画週間や、台湾電影ルネッサンス2025、ワロン・ブリュッセル:ベルギーフランス語圏特集など、多彩な特集上映も行います。
若い観客に映画の素晴らしさを体験してもらう部門です。「TIFFティーンズ映画教室」は、中学生たちが限られた時間の中で映画を作り、その成果をスクリーンで発表します。「TIFFチルドレン」はサイレント映画の名作をパフォーマンス付きでお届けします。「TIFFティーンズ」は国際映画祭で評価された作品の中からティーンズ世代に刺激を受けてもらいたい秀作を上映します。また新たな取り組みとして、TIFFティーンズ映画教室2025参加者を対象とした鑑賞ワークショップ「TIFFティーンズ・シネクラブ」と、それに関するトークも実施いたします。
日本映画の新作を対象に、特に海外に紹介されるべき日本映画という観点から選考された作品を上映する部門です。新鋭の瑞々しい作品や、真摯なドキュメンタリー作品など、さまざまな作品を上映します。
アニメーション部門は、国内の最新作と海外の話題作の合計11作品を上映します。それに加え、アジア太平洋戦争の終戦から戦後80年を迎えるにあたり、レトロスペクティブとして「桃太郎海の神兵」を取り上げます。またアニメーション関連のシンポジウムも3つ開催します。
日本映画の名作クラシック作品を上映する部門です。今年は、3月に逝去した篠田正浩監督と成瀬巳喜男監督、周防正行監督、岩井俊二監督の作品を上映するほか、三島由紀夫生誕100周年記念の特集をします。また、小津安二郎監督についてのドキュメンタリーを特別上映します。
TV放映、インターネット配信等を目的に製作されたシリーズ作品の秀作を日本国内での公開に先駆け、スクリーンで上映する部門です。
2024年に東京都の支援を受けて設立された本部門は、女性監督と女性の物語を主役に据えています。2年目となる今年は、移民、10代の恋愛、障害、児童労働、紛争、避難、そしてキャリアと母親業の両立といったテーマを通じて、世界の真の多様性をさらに力強く伝えます。本部門は映画上映にとどまらず、Q&Aセッションや特別トーク、そして「東京から世界へ-日本の女性プロデューサーが世界進出するために」と題するシンポジウムも実施されます。
アジア各国の映画学校が推薦する60分未満の実写、アニメ映画から選出された学生映画のコンペティション部門です。すでにカンヌ他の映画祭で受賞している秀作もラインナップしています。
市山尚三(いちやま しょうぞう)
1963年生まれ。松竹、オフィス北野をベースに主に海外の映画作家の作品をプロデュースする。主な作品にホウ・シャオシェン監督の『フラワーズ・オブ・シャンハイ』(1998)、カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞したサミラ・マフマルバフ監督 の『ブラックボード』(2000)、カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞したジャ・ジャンクー監督の『罪の手ざわり』(2013)等があ る。また1992年から1999年まで東京国際映画祭の作品選定を担当。2000年に映画祭「東京フィルメックス」を立ち上げ、ディレクターを務めた。2013年より東京藝術大学大学院映像研究科の客員教授。2019年、川喜多賞受賞。 2021年、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターに就任。
石坂健治(いしざか けんじ)
1960年生まれ。早稲田大学大学院で映画学を専攻し、アジア映画、ドキュメンタリー映画に関する批評活動を開始。1990年より2007年まで国際交流基金専門員としてアジア中東映画祭シリーズを企画運営。2007年の第20回TIFFよりアジア部門のプログラミング・ディレクターに就任。 2020年より現職。日本映画大学教授・映画学部長。共著書に『ドキュメンタリーの海へ』(現代書館)など。
藤津亮太(ふじつ りょうた)
アニメ評論家。1968年、静岡県生まれ。新聞記者、週刊誌編集を経て、2000年よりアニメ関係の執筆を始める。主な著書に『増補改訂版「アニメ評論家」宣言』(ちくま文庫)、『アニメと戦争』(日本評論社)、『富野由悠季論』(筑摩書房)などがある。東京工芸大学芸術学部教授。
アンドリヤナ・ツヴェトコビッチ
映画監督、教授、起業家、初代駐日マケドニア大使。2021年には、WIN Inspiring Women Worldwide Awardを受賞。日本大学で映画研究の博士号を取得し、京都大学で客員教授を務める。東京を拠点とするBrioNexusの創業者兼CEOである。東京国際映画祭では2021年にAmazon Prime Video テイクワン賞の審査委員、2023年に「SDGs in Motion」のプログラム・キュレーターを務め、2024年ウィメンズ・エンパワーメント部門のシニア・プログラマーに就任。同年、TIFFCOMでシンポジウム「生成AIが映画にもたらすチャンスとリスク、未来像」の企画・司会を担当した。映画監督としては映文連アワードの部門優秀賞を受賞。世界経済フォーラムや国連気候変動会議などで講演を行なっている。
幅広い知見・人脈と多様な価値観を有する外部専門家の協力を頂き、上映作品を選定しました。
安藤紘平
(あんどう こうへい)
早稲田大学名誉教授
金原由佳
(きんばら ゆか)
映画ジャーナリスト
関口裕子
(せきぐち ゆうこ)
映画ジャーナリスト