2025.10.01 [更新/お知らせ]
第38回東京国際映画祭 ラインナップ発表記者会見 「コンペティション」部門他 上映作品を発表!フェスティバル・ナビゲーター 瀧内公美 コンペティション部門坂下雄一郎監督、中川龍太郎監督登壇

いよいよ今月27日(月)より開催となる第38回東京国際映画祭ですが、本日10月1日(水)に東京ミッドタウン日比谷BASE Q HALLにてラインナップ発表記者会見が開催。ゲストに、フェスティバル・ナビゲーターとして瀧内公美と「コンペティション」部門作品より坂下雄一郎監督(『金髪』)、中川龍太郎監督( 『恒星の向こう側』)が登壇いたしました。
 
ラインナップ発表記者会見

©2025 TIFF

 
今年の映画祭は、10月27日(月)から11月5日(水)の10日間、昨年に引き続き日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催。昨年同様にオープニングのレッドカーペットを日比谷仲通りにて開催予定。また、映画祭併設のビジネスコンテンツマーケットTIFFCOMは、10月29日(水)から31日(金)の3日間の同時期開催される。
「東京から映画の可能性を発信し、多様な世界との交流に貢献する」を目指し、新部門の創設など映画人や映画ファンの交流の場を様々な形で実現させていく。
 
東京国際映画祭チェアマン安藤裕康による開催の挨拶で会見は始まり、本年度の映画祭の目標として「映画を通じた対話と調和」を掲げ、交流ラウンジのステップアップ、ジェンダー問題への取組、未来を築く人材の育成の3つの柱に言及した。
 

ラインナップ発表記者会見

今年の審査委員長は、2013年から2018年までロカルノ国際映画祭、さらに2020年から2024年まではベルリン国際映画祭のアーティスティック・ディレクターを務めていた、カルロ・シャトリアンと発表。加えて俳優のグイ・ルンメイ、編集のマチュー・ラクロー、俳優の齊藤工、映画監督のヴィヴィアン・チュウが審査委員となりコンペ作品を審査するとした。
 
次にフェスティバル・ナビゲーターに就任した瀧内公美が登壇。デビュー当時から東京国際映画祭に足しげく通っていた瀧内はナビゲーターに任命されたことについて「青天の霹靂です。緊張しております」と驚きを隠せない様子。本映画祭については「アジアの最高峰の映画祭と認識しています」とその印象を話し、「国内で上映されない作品を見ることができるし、新しい映像作家に出会える。原石を探す場所です」と映画祭の開幕を誰よりも心待ちにしていた。
 
ラインナップ発表記者会見

 
その後、プログラミング・ディレクターの市山尚三より「コンペティション部門」15作品の紹介に続き、「コンペティション部門」に選ばれた日本映画2作品を発表し、『金髪』の坂下雄一郎監督(ガラ・セレクション部門の『君の顔では泣けない』も出品)、『恒星の向こう側』の中川龍太郎監督が登壇。
坂下監督は「東京国際映画祭には、過去に作品を出品して落ちた経験や、観客として通っていた思い出もあるので、今回選んでいただけて感慨深いです。これを機に映画を観る人が増えてほしい」、中川監督は「12年前にはじめて選んでいただいて、また戻ってこられて嬉しいです。縁が深い映画祭で、初めてコンペに選んでいただけたことはとても光栄です。今回はドキュメンタリー作品がコンペ部門に入っているのも意義深いです」と映画祭について語った。
 
ラインナップ発表記者会見

 
続けて石坂健治シニア・プログラマーより「アジアの未来」部門の紹介がなされ、「ガラ・セレクション」部門、「ワールドフォーカス」部門、「Nippon Cinema Now」部門ほか特集について、市山PDより紹介。東京都との協賛で今年新設された「アジア学生映画コンファレンス」部門について「アジア各国の映画学校が推薦する60分未満の実写で、アニメ映画も選出されている学生映画のコンペティション部門です。すでにカンヌ他の映画祭で受賞している秀作もラインナップされています」と紹介し、将来の巨匠の出現に期待を寄せた。
 
その後、アンドリヤナ・ツヴェトコビッチ シニア・プログラマーより「ウィメンズ・エンパワーメント」部門の紹介、藤津亮太プログラミング・アドバイザーより「アニメーション」部門の紹介がなされた。
さらに司会より「黒澤明賞」や「エシカル・フィルム賞」「交流ラウンジ」の紹介、その他関連イベントの紹介など今年も特に盛況が見込まれる数々のイベントが紹介され、最後に質疑応答が行われ、会見は終了した。
 
第38回東京国際映画祭は10月27日(月)から11月5日(水)の10日間の開催期間中、183本の映画が上映される。
 


 
【瀧内公美 Q&A】
Q.東京国際映画祭のイメージ
アジア最高峰の映画祭だと認識しています。アジアから世界へというイメージがある中での先駆者であり、とても歴史の深い映画祭です。
 
Q.ナビゲーターに選ばれた感想
青天の霹靂でした。まさか自分が、という気持ちです。ナビゲーターとして何ができるかを皆さんと一緒に話し合いながら活動していきますので、多くの方に足を運んでいただきたいです。
 
Q.東京国際映画祭で記憶に残っている作品
『百円の恋』です。印象的で凄く好きな作品でした。
 
Q.今年の映画祭で注目している作品
雌鶏』、『恒星の向こう側』、『パレスチナ36』、『遥か東の中心で』です。多くの作品から絞り込みました。この4本は必ず観たいです。
 
Q.東京国際映画祭とはどんな存在ですか
国内で上映することが難しい作品が映画祭で観られる醍醐味を感じますし、新しい作家との出会いの場所です。映画祭に通って、この監督素敵だなという作品を見つけて、劇場公開されたらまた見に行きたいです。原石を探す場所という認識です。
 
 
【坂下雄一郎監督、中川龍太郎監督 Q&A】
Q.コンペティションに選ばれたことについて
坂下:東京国際映画祭は、学生時代に作品を応募して落ちたり、観客として通ったり思い出がある映画祭です。過去に落ちた経験もあるので、コンペティションに選ばれたのは感慨深く、ありがたいです。
中川:大学生時代に作った映画を上映していただけたり、2年前はガラ・セレクションで選んでいただいたり、縁深い映画祭です。初めてコンペティションに選出いただき光栄です。
 
Q.映画祭で期待していること
坂下:これだけ特定の期間でまとめて色んな映画が観られる機会はないので、映画を観る人がこれを機に増えるといいなと思います。
中川:映画祭は、プログラマーの選ぶ世界の地図がそこにあると思います。市山さんの映画の選定は素晴らしいので、新しい東京国際映画祭の素晴らしさを感じてもらえたら嬉しいですし、今回は時間があるので沢山映画を観たいと思います。
 
Q.特に興味のある映画
坂下:『雌鶏』です。監督の過去作を観ていて、変わっていたことが印象的だったので今作も気になります。
中川:『虚空への説教』です。映画祭でしか観られないような作品なので、観たいです。ドキュメンタリーは自分が挑戦したい分野ではありますし、コンペティションにドキュメンタリーがあるのは意義深いと思います。
 
【瀧内公美、坂下雄一郎監督、中川龍太郎監督 質疑応答】
Q.なぜパレスチナの映画『パレスチナ36』に期待しているのか?
瀧内:現在問題とされている源流は何なのかということを知りたいですし、世界情勢などが絡み合って映画祭でしか公開されない作品もあると思うので、一個人として今観ておかなければならない作品と思ったので観たいです。
 
Q.映画の見どころ
坂下:ポスターにもあるように、中学生がある日、学校の校則に抗議するため全員で金髪にする作品です。おかしい、と思ったことに声を上げる作品は、当事者に主軸があるものが多いが、あえて教師側に軸を置くことで対処しなければと右往左往する姿をコメディ的に見せることができた。基本はエンタメ映画なので、なるべく笑っていただきたい。それに付随して、社会にある問題についても色々と考えていただければと思います。
 
Q.河瀬直美監督を起用したことについて
中川:たくさんの素晴らしい俳優さんにアプローチいただいたのですが、自分の中では河瀬監督一択でした。彼女への色々なイメージがあると思いますが、やっぱり一筋縄ではいかない方です。ある種の厳しさもあります。その厳しさが作品に与えるパワーというものが凄くあります。俳優って感受性が資源で、上辺のことではなく、人が持っているややこしく攻撃的な部分を含めてその人間が持っているパワーが強くないと面白くならないんです。河瀬さんはそのパワーの塊で、彼女がいるだけで俳優さんもいい意味でビビります。そういう力をお借りしたく河瀬監督にお願いしました。
 
 
【安藤裕康チェアマン、市山尚三プログラミング・ディレクターへの質疑応答】
Q.昨年Amazonのテイクワン賞がなくなりましたが、今年それに代わって新設されたのはアジア学生映画コンファレンスですか
市山:まさにその通りです。東京国際映画祭では、第1回目の受賞者に対して、次回作の支援をしたのですが、うまくいったりいかなかったりで、2回目からは賞金を渡しています。今後どうしていくかは検討課題です。
 
Q.齊藤工を審査委員に選んだ理由
市山:齊藤さんは、前から知っていて、東京国際映画祭には時間があると観客として来てくださいます。去年はエシカル・フィルム賞の審査委員長で、素晴らしい議論を展開してくださいました。それらを踏まえて、今年はぜひ、メインの審査委員をやってほしいとお願いしました。
 
Q.グランプリ受賞作品が、映画祭の色となることについてどう考えているか
市山:グランプリについては逆に言うと、審査委員の判断になると思います。割とばらばらな作品群なので、何が受賞するかは審査委員次第です。どれがとってもいいと思っています。
 
Q.東南アジアの映画の勢いについてどう思うか
市山:かなり映画産業が進行していると思います。東南アジアの共同製作などが盛んになっていて、今特に映画祭に出すような映画を作ろうと言う気が高まっています。今回東南アジア作品が多いのは、面白い作品が多くて偶然です。
 
 
コンペティション部門
応募作品数()内は昨年数:1,970本(2,023本)/国と地域数:108(110)
※邦画作品の本数は76本で全体の中での比率は41.7%(昨年39.7%)
※ワールドプレミア(世界初上映)作品は41本(昨年33本)で全体の中での比率は22.5%(昨年15.8%)
※男女共同監督を含めた女性監督作品は43本(女性のみ36本、男女共同7本)で全体の中での比率は23.5%(昨年は24.4%)(同じ監督による作品は作品数に関わらず1人としてカウント)

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