2025.10.09 [更新/お知らせ]
第38回東京国際映画祭 アニメーション部門 木下麦監督 登壇!『ホウセンカ』特別上映 日本外国特派員協会 記者会見

本日10月9日(木)に丸の内にある日本外国特派員協会にて東京国際映画祭と日本外国特派員協会(FCCJ)との共催で会見を実施。アニメーション部門より、「オッドタクシー」(21)の木下麦×此元和津也と制作スタジオ・CLAPによる世界が注目する最新作『ホウセンカ』が上映。木下 麦監督が登壇いたしました。
 
FCCJ-1009

©2025 TIFF

 
はじめに、市山尚三プログラミング・ディレクターより、今年の映画祭について紹介。「今年は昨年に続き非常に力強い作品が集まった。昨年は中国作品が多いという傾向にあったが、今年は注目すべき点として、東南アジアの作品が多い。これは意図してプログラミングをしたわけではなく、東南アジアの産業の変化が影響していると思う。個人だけでなく企業による映画への投資が活性化してきている。もう一つの特徴として、史実・歴史上の人物にフューチャーした作品が多いことが上げられる。我々が認識している人物像とはまた違い、制作者が綿密に調べて新たに描き直している」と語った。
注目のイベント、ゲストについては「生誕100年記念として三島由紀夫特集を行う。アメリカのポール・シュレイダー監督作の『MISHIMA』は今まで日本では上映されてこなかった作品。東京国際映画祭の第1回目で上映するという話もあったが、なぜか無くなった。当時の関係者などがおらず詳細な理由はわからないが、念願かなっての日本初上映となる。Blu-rayでも観ている方はいると思うが、4Kレストア版ですし、スクリーンで観ると全く違うと思うので、ぜひ観ていただきたい作品」とした。
 
次に藤津亮太プログラミング・アドバイザーよりアニメーション部門の特色や注目イベントについて紹介。「今年のアニメーション部門は12作品。国内作品は“表現の挑戦”に関した6作品、国外作品は“世界と私の関係”に関した5作品を選出しました」とし、『ホウセンカ』と木下麦監督については「この作品は大変ユニークな作品かつ、日本のアニメーションが培ってきたセンスを継承している。また高畑勲監督の日常生活を丁寧に描くという手法の延長線上にある作品だと思い、選出しました。大変繊細な作品でもある」とした。
 
『ホウセンカ』の監督である木下 麦監督は、今回アニメーション部門に選ばれたことについて「『ホウセンカ』は2年半前に立ち上げて、丁寧に映像を作っていくということを目標に作った作品なので、皆さんに「美しい」、「丁寧だ」と言っていただけて嬉しい」と喜びを表現した。
 
その後、登壇者3名に対して、来場者からの質疑応答が行われた。
 
【質疑応答】
Q.木下監督が影響を受けた監督、オリジナル作品を作る意義とは
 
木下監督:高畑勲監督、宮崎駿監督はもちろん、実写でもマーティン・スコセッシ監督やクエンティン・タランティーノ監督、北野武監督にも、影響を受けています。基本的に人間を描く作品に強く影響を受けている。映画は人間を描くことと思っているので、そこは大事にしています。
オリジナル作品については、まだ生まれていない作品を作りたいという思いがあって、昨今のアニメは躍動的なものが多い中で、それを否定するわけではありませんが、静けさだったり、構図だったり、ライティングだったりで感情や物語を伝えることができると思い、今回の作品ではそれを表現しました。
 
【上映後木下 麦監督Q&A】
Q.アヌシー国際アニメーション映画祭2025や、第38回東京国際映画祭に参加しているが、グローバルな視点からどのようなアニメ作家になりたいと思っているか
 
木下監督:アニメーションは国の垣根を超える素晴らしいカルチャーだと思っています。日本のアニメは海外でも人気ですが、まず日本の文化に根差したものを作っていくことを念頭に置いています。日本の文化を題材にしてかつ芸術性があり、新しいものを創り出していきたいです。
 


 
【木下 麦監督 プロフィール】
アニメーション監督/イラストレーター 多摩美術⼤学在籍時からイラストレーター/アニメーターとして活動。アニメーターや監督補佐を経て、オリジナルTVアニメーション「オッドタクシー」で⾃⾝初となる監督、キャラクターデザインを担当。同作でCrunchyroll Anime Awards 2022 / Best Director、第25回⽂化庁メディア芸術祭 アニメーション部⾨ 新⼈賞などを受賞した。アニメーションの演出やコンセプトアート、キャラクターデザインなど幅広く活動分野を広げている。P.I.C.S. management所属。

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