2025.10.28 [イベントレポート]
カルロ・シャトリアン、齊藤 工、グイ・ルンメイ、 ヴィヴィアン・チュウ、マチュー・ラクロー登壇 審査委員記者会見 <10月28日(火)開催イベントのご報告>

審査委員記者会見

©2025 TIFF

 
開催中の第38回東京国際映画祭。本日28日(火)にTOHOシネマズシャンテにてカルロ・シャトリアン、齊藤 工、グイ・ルンメイ、ヴィヴィアン・チュウ、マチュー・ラクローが登壇した審査委員記者会見を実施いたしました。
 
審査委員長のカルロ・シャトリアンは、「東京に戻ることができ、東京国際映画祭に参加できて嬉しいです。長年映画祭で仕事をしてきましたが、映画祭は私たちの視野を広げてくれ、世界をよりよく理解できるように伝えてもらえるありがたい存在です。そして今日、色々なニュースやストーリーを知り、お互いを理解することが大切です」と映画祭について言及。齊藤工は「この素晴らしい4名と審査委員という形で携われて興奮していると同時に、東京国際映画祭で映画に浸かるということが日常になってきて、映画ファンとしてこの大役を務めていきたいと思います。100か国、2000作品から選りすぐった15作品を5人の審査委員、5つの心を持って選んでいきたい。今後と映画祭がどのような方向に向かっていくのかそういった兆しに参加できたらと思います」とした。グイ・ルンメイは「今回、東京国際映画祭の審査員として選出され、光栄です。コンペのリストを見ましたが、とても興奮しております。世界各地の映画が選ばれ、ジャンルも異なり、我々としてはクリエイターがどのように映画を作っているのか知ることができる。バックグラウンドの違う方々との経験は私にとって忘れがたい経験になります」と語った。ヴィヴィアン・チュウは、「大変嬉しいことに東京国際映画祭に市山さんのご招待を受けて審査委員として仕事をすることになりました。このメンバーですが、主席をはじめだんだんと知り合ってきているので、とても楽しくすることができると信じています」と審査委員に選ばれた喜びを語った。マチュー・ラクローは、「この度は市山さんの招待を受けて、参加できることを光栄に思います。過去2年間、映画祭では素晴らしい体験をしました。作品を観ながら会話をしながら、楽しい時間を過ごすことを心待ちにしています」とした。
 
Q.これまでロカルノやベルリンなどの映画祭に携わってきて、東京国際映画祭への印象は?また審査委員長として、期待していること
 
カルロ:東京国際映画祭には過去2回参加しました。コロナ前は色々な上映会に参加することができましたが、前回は、コロナ禍中で、あまり多くのことを見ることができなかった。プロとして、今回はより全体的な経験ができると思っています。10日間、審査委員の皆さんと共に色々な作品を見ながら議論していきます。審査委員長として責任を感じますが、我々が感じた気持ちや感情をまとめて結論を解決に導いていきたい。映画祭に期待していることは、映画祭では常に予期しなかった見事なものを見られます。それに立ち会えることが、私たちの仕事ですし、驚かされたいと思っています。
 
Q.ここ十年の日本、アジアの才能について
 
カルロ:私は、映画を作る側でなく受ける側の人間ですが、色々学ばせていただいている中で、作品は何を届けたいのか考えます。我々としては、出会った作品の作り手の支援ができたらと、ロカルノでもベルリンでも、クリエイターを支援してきました。2014年に砕けた夕食の会で、私が知らなかったフィルムメイカーの作品の話になって、機内で作品を観ようと思ったら、あまりにも強力な作品だったのでロカルノに戻りちゃんと観ました。本当に素晴らしかったので、チームにも共有し、5時間45分という映画だったのですが、大変素晴らしく驚かされ、3000人の観客が入るシアターで映画を上映しました。印象的だったのが、観客が泣いていたことです。『ハッピーアワー』という4名の見事な俳優が出演している作品です。また、映画祭に関してですが、我々は多岐にわたって多くの制作された映画を限定的な形で15本観ていきます。マスコミの力は過小評価できません。映画を支援することに関しては、作品の伝わり方が重要だと思います。劇場の持つ力も忘れてはいけない。配給が決まっていない作品が残念ながら多いですが、これはとても悲しい事です。とても素晴らしく美しい映画祭で紹介される作品が、日の目にあたることが難しいという現状の中で、マスコミやみなさんの力で伝わっていくと思います。
 
Q.過去20年間の審査委員長は俳優、監督、プロデューサーが多い中、ジャーナリストとしてどのような映画の観方ができるか
 
カルロ:私は今回、5名のうちの1人という思いでおります。過去、審査委員も審査委員長も務めてきましたが、独裁者になろうとしているわけではありません。また、映画祭の歴史を見ると、審査委員は、近年は俳優やフィルムメイカーが務めていますが、過去を振り返るとより学術的な方が多いです。今回わたしが委員長を務めますが、他の審査委員も委員長ができるくらい素晴らしい方々です。私は作り手のような内部の人間ではなく、映画の観方に制限はありません。
 
Q.東京国際映画祭をどう捉えていて、どう進んでいくと思っているのか
 
齊藤:時代としても、例えば昨日色んな事情で交通渋滞があったり、国境やボーダーというものを意識せざるを得ない時代で、違いだったり、国境を越えられる一つの手立てが映画だと思っています。東京国際映画祭が映画の可能性や多様性、日本が残してきた日本映画の歴史がどこへ向かうべきかを、いつも客席側から眺めて、自分の中で希望の光を持ち帰ることを繰り返しています。個人的には、もっと東京国際映画祭に同業者やスタッフ、邦画にまつわる人間がより集まるという未来に向かうことが邦画としては大事と思っています。コンペの多くが、ビハインド的にその国々が抱える問題を含んだ作品を市山さんたちが長い時間をかけて選んでくださった。その中で日本映画がどんな存在感があるか、東京国際映画祭の未来を見つめていきたいと思っています。
 
Q.国際交流がトピックになる中で、東京国際映画祭においては、どのような交流の役割を果たせるか
 
ヴィヴィアン:フィルムメイカーとして、10年から15年ほど国際的にも共同制作の作品に携わってきました。異なる方々と仕事をしてきて、とても大切なこととして、どう物語を国際的なプラットフォームに紹介するかがあります。東京国際映画祭はアジアとグローバルを繋げるとても大事なプラットフォーム。映画祭は映画を色々な方々に見ていただける場です。近年色々な課題があるが、映画祭は最後の聖域だと思います。その役割がとても重要であると思い、プログラマーであっても役者であっても責任は重く、自分たちの物語を世界の方々に見てもらう仕事をしているが、映画はとても重要であることを知っていただきたいと思います。
 
Q. 審査をすることで大切にしたいこと
 
マチュー:自分の中には映画を観て、驚かされたいという気持ちがあります。私たちの人生の中で多くの映画を観てきて、予想することができない、目にしてきてないものを求めています。
 
グイ:私の場合は、大事なのは映画を見て感動できるかどうかです。人々の心を動かせるかが大事。観客として、経験したことのないような、見たこともない、知らなかったことを全部映画を通して感じられると思います。もう一つ大事なことは、製作者がどのような覚悟と勇気を持って作っているのかも大事な部分となります。

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