2025.10.28 [イベントレポート]
ジュリエット・ビノシュ、ロバート・レッドフォードからのアドバイスで監督デビュー MEGUMIが製作参加
イン・アイ・イン・モーション
©2025 TIFF
 

  開催中の第38回東京国際映画祭、特別上映部門で10月28日、仏俳優ジュリエット・ビノシュの初監督作『イン・アイ・イン・モーション』が上映され、ビノシュが観客とのQ&Aに応じた。

2007年に英国のダンサー兼振付師アクラム・カーンとビノシュが世界各国で公演を行ったダンス・パフォーマンスを企画段階から長期間にわたって記録したドキュメンタリー。白熱した公演の模様のほか、パフォーマンスを作り上げる過程で議論を繰り返す二人の姿が映し出される。

本作製作は、ニューヨークの公演を鑑賞した故ロバート・レッドフォードがビノシュの楽屋を訪問したことがきっかけだった。「この舞台から映画を作るべきだと言ってくれたのです。すごく驚きましたが、この舞台を通して本当に貴重な経験をしたので、是非やってみたいと思った」と振り返る。

妹に舞台裏のメイキングの動画撮影を依頼し、およそ170時間にわたる素材を3人の編集スタッフとともに見返しての作業となった。「いろんな場面を撮影したので、カメラの前で女優として演じていた時には気づかなかったことにも気づき、ステージの音響や照明、効果についてもその仕事の再発見となった」「(舞台裏の)良いことや悪い場面も映されており、そういった部分も見てほしい」と語る。

観客から、舞台作品のモチーフについて問われると、「アクラムは父との関係に悩んでいて、私の場合は、愛というものへの疑問、愛をどうやったら持続させることができるのかを考えていました。そこからの思考と経験から学んだのは、自分の感情や必要としていること、そういったものが壁にぶち当たり、すべてを手放した時に、また違うものが手に入るということ」と説明する。

また、演技とダンスでの表現方法に違いはないと言い、「女優としていつも新しい経験をしたいと考えています。心で感じること、そして見えないものを見ていくプロセスでいろんなものを発見することができます。そこには人工的なものではなく、内面の神秘的なところから生まれるものがあると思うのです。例えば、『トリコロール 青の愛』の後に、子供や夫が死ぬ役の脚本をいただくようになりました。それはできる役をまたやってほしいということですが、女優としては新しいものに飛び込み、リスクを負うようことをやってみたいと常に思っています」と、40代を過ぎてからダンスに挑んだエピソードと併せて、たゆまぬチャレンジ精神を強調した。

また、この日は本作のアソシエイト・プロデューサーを務めるMEGUMIが登壇し、花束贈呈を行った。MEGUMIが「人生で出会った中で一番かっこいい女性」とビノシュを評し「過去に出演された傑作、生きざまに共鳴し、ぜひご一緒させていただきたいと思った」と述べると、ビノシュもMEGUMIのプロデューサー業での取り組みを称え、「この映画のサポートのみならず、私の人生に加わってくださったことをうれしく思います」と笑顔を見せた。
イン・アイ・イン・モーション
©2025 TIFF

第38回東京国際映画祭は10月27日~11月5日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
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