第38回東京国際映画祭で11月2日、アニメーション部門作品『
トリツカレ男』の舞台挨拶が東京・丸の内ピカデリーで行われ、髙橋渉監督と本作で声優に初挑戦した柿澤勇人が出席した。
いしいしんじ氏の短編小説を劇場アニメ化する本作。何かに夢中になると、ほかのことは一切見えなくなってしまうことから、周囲から「トリツカレ男」と呼ばれるジュゼッペと、風船売りの少女・ペチカの恋物語を描く。ジュゼッペ役を「A ぇ! group」の佐野晶哉、ペチカ役を上白石萌歌が担当。柿澤は、ジュゼッペの頼れる相棒で、ジュゼッペとペチカの仲を進展させるために奔走するハツカネズミのシエロ役を演じる。
「アニメーション映画の声優は、役者人生において初めて」という柿澤だが、オファーを受けて「絶対にやりたいと思った」という。「ただ、「ネズミです」」というオファーに驚きもあった様子で、「コロナ禍で『劇場にみんなで観に来てね、劇場の火を灯し続けてね』というショートムービーをやったことがあって。その時は、オペラグラス役だったんです。なんで僕は人間の役ができないんだろう」と話して会場を笑わせながら、「登場人物が温かなキャラクターばかり。脚本を読み終えた時にも、温かいものが残った。ミュージカルとしてステキな音楽もありますし、絶対にやりたいと思いました」と前のめりで新境地に飛び込んだと明かした。
髙橋監督は、柿澤の理由についてこう語った。「主人公のジュゼッペは、好き勝手に動き回るキャラクター。相方のシエロは、しっかりとした方にやっていただかなければならない」と目尻を下げつつ、「ミュージカル経験も豊富な柿澤さんに、ぜひお願いしたいと思った」と説明。「最初から最後まで、喋っているようなキャラクター。ネズミをやってほしいというよりも、ジュゼッペの親友をやっていただきたかった。頼りになる、相棒感のある雰囲気を、柿澤さんなら出してもらえると思った」と信頼感を口にした。
アフレコを回想した柿澤は、ネズミ役の「正解がよくわからない」とつぶやいて会場も大笑い。「会話としてたくさん喋ったりもしますし、チューチュー、チューチュー言うシーンがいっぱいある。チューチューのバリエーションの正解もわからなくて。100テイクくらい、もっとやりましたっけ?」とあらゆるネズミの鳴き声にチャレンジしたと振り返ると、髙橋監督は「もっと録りました。すごい数のチューチューのストックがある。シエロ単独で映画を作れるくらい」と柿澤の熱演に感謝を込めながら、楽しそうに話していた。
さらに主人公のジュゼッペについて、髙橋監督は「自分勝手に歌い、踊って、勝手に女の子を好きになって追いかけたり、迷惑極まりないと言えば極まりない男」と切り出しつつ、「でもすごく愛嬌があって、自分のためというよりも、誰かのために動いているというのがとても魅力的なキャラクター」と愛着を寄せた。すると柿澤も「すごくピュアで、本能のまま、素直に人生を生きているヤツ」と“相棒”ジュゼッペのチャーミング性を強調。「そういう意味では、演じた佐野晶哉さんはぴったり。人間的にもピュアでチャーミングで、愛される方。音楽の技術的なことも含めて、ぴったり」と続け、「劇中のジュゼッペはたしかに面倒くさいなと思うところもありますし、それに対してシエロが「もっとしっかりしなよ」と怒ったり、アドバイスしたりもする。でも結局は憎めないヤツ」とたっぷりと愛情を傾けていた。
最後にはシエロのぬいぐるみも登場し、一緒に仲良くフォトセッション。髙橋監督は、「原作を読んでとても純粋なお話だった。それをそのまま、描こうと思った映画です。柿澤さん演じるシエロがチューチューと言っていますが、映画を観終わる頃には、何を言っているかわかるようになると思います。ぜひその変化も楽しんでいただきたい」とアピール。柿澤は「誰かが誰かを思うこと、誰かの健康や幸せを思うこと、愛を持つことって当たり前のことかもしれませんが、この時代、人が人を思うことは難しくなっているようにも感じます。そういったことのすばらしさを、ステキな音楽、ミュージカルを通して伝えてくれる映画」だと完成作に胸を張っていた。
第38回東京国際映画祭は10月27日~11月5日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。『トリツカレ男』は、11月7日より公開。
第38回東京国際映画祭で11月2日、アニメーション部門作品『
トリツカレ男』の舞台挨拶が東京・丸の内ピカデリーで行われ、髙橋渉監督と本作で声優に初挑戦した柿澤勇人が出席した。
いしいしんじ氏の短編小説を劇場アニメ化する本作。何かに夢中になると、ほかのことは一切見えなくなってしまうことから、周囲から「トリツカレ男」と呼ばれるジュゼッペと、風船売りの少女・ペチカの恋物語を描く。ジュゼッペ役を「A ぇ! group」の佐野晶哉、ペチカ役を上白石萌歌が担当。柿澤は、ジュゼッペの頼れる相棒で、ジュゼッペとペチカの仲を進展させるために奔走するハツカネズミのシエロ役を演じる。
「アニメーション映画の声優は、役者人生において初めて」という柿澤だが、オファーを受けて「絶対にやりたいと思った」という。「ただ、「ネズミです」」というオファーに驚きもあった様子で、「コロナ禍で『劇場にみんなで観に来てね、劇場の火を灯し続けてね』というショートムービーをやったことがあって。その時は、オペラグラス役だったんです。なんで僕は人間の役ができないんだろう」と話して会場を笑わせながら、「登場人物が温かなキャラクターばかり。脚本を読み終えた時にも、温かいものが残った。ミュージカルとしてステキな音楽もありますし、絶対にやりたいと思いました」と前のめりで新境地に飛び込んだと明かした。
髙橋監督は、柿澤の理由についてこう語った。「主人公のジュゼッペは、好き勝手に動き回るキャラクター。相方のシエロは、しっかりとした方にやっていただかなければならない」と目尻を下げつつ、「ミュージカル経験も豊富な柿澤さんに、ぜひお願いしたいと思った」と説明。「最初から最後まで、喋っているようなキャラクター。ネズミをやってほしいというよりも、ジュゼッペの親友をやっていただきたかった。頼りになる、相棒感のある雰囲気を、柿澤さんなら出してもらえると思った」と信頼感を口にした。
アフレコを回想した柿澤は、ネズミ役の「正解がよくわからない」とつぶやいて会場も大笑い。「会話としてたくさん喋ったりもしますし、チューチュー、チューチュー言うシーンがいっぱいある。チューチューのバリエーションの正解もわからなくて。100テイクくらい、もっとやりましたっけ?」とあらゆるネズミの鳴き声にチャレンジしたと振り返ると、髙橋監督は「もっと録りました。すごい数のチューチューのストックがある。シエロ単独で映画を作れるくらい」と柿澤の熱演に感謝を込めながら、楽しそうに話していた。
さらに主人公のジュゼッペについて、髙橋監督は「自分勝手に歌い、踊って、勝手に女の子を好きになって追いかけたり、迷惑極まりないと言えば極まりない男」と切り出しつつ、「でもすごく愛嬌があって、自分のためというよりも、誰かのために動いているというのがとても魅力的なキャラクター」と愛着を寄せた。すると柿澤も「すごくピュアで、本能のまま、素直に人生を生きているヤツ」と“相棒”ジュゼッペのチャーミング性を強調。「そういう意味では、演じた佐野晶哉さんはぴったり。人間的にもピュアでチャーミングで、愛される方。音楽の技術的なことも含めて、ぴったり」と続け、「劇中のジュゼッペはたしかに面倒くさいなと思うところもありますし、それに対してシエロが「もっとしっかりしなよ」と怒ったり、アドバイスしたりもする。でも結局は憎めないヤツ」とたっぷりと愛情を傾けていた。
最後にはシエロのぬいぐるみも登場し、一緒に仲良くフォトセッション。髙橋監督は、「原作を読んでとても純粋なお話だった。それをそのまま、描こうと思った映画です。柿澤さん演じるシエロがチューチューと言っていますが、映画を観終わる頃には、何を言っているかわかるようになると思います。ぜひその変化も楽しんでいただきたい」とアピール。柿澤は「誰かが誰かを思うこと、誰かの健康や幸せを思うこと、愛を持つことって当たり前のことかもしれませんが、この時代、人が人を思うことは難しくなっているようにも感じます。そういったことのすばらしさを、ステキな音楽、ミュージカルを通して伝えてくれる映画」だと完成作に胸を張っていた。
第38回東京国際映画祭は10月27日~11月5日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。『トリツカレ男』は、11月7日より公開。