2025.11.04 [イベントレポート]
学生監督たちが制作時の苦労話を吐露「スタッフにご飯をおごるのにも……」
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第38回東京国際映画祭「アジア学生映画コンファレンス プログラム2」の上映会が11月3日にTOHOシネマズ シャンテで行われ、5人の学生監督が舞台挨拶に登壇、それぞれの作品に込めた思いを語り尽くした。

本プログラムは、アジア各国の映画学校が推薦する60分未満の作品から選出された15本の学生映画からなるコンペティション部門。映画監督のリティ・パンを審査委員長に、カンヌ映画祭代表補佐兼映画部門ディレクターのクリスチャン・ジュンヌ、俳優・映画監督の岡本多緒が審査員として参加し、作品賞を授与する予定となっている。

この日はプログラム2に選出された5作品を上映。映画上映後、ステージに登壇した5人の学生監督には大きな拍手が送られた。そこでさっそく映画を鑑賞したばかりの観客からの質問を受けることとなり、「この短編を作ることに労力や資金など大変だったと思うんですが、作品づくりで情熱をこめたところは? 特に資金面で苦労したところなどありましたら」という質問が寄せられた。

それに対して『エンジン再始動』のチョン・ヘイン監督(韓国映画アカデミー)は「学校から制作費は全額出ましたが、撮影期間中は仕事ができないのでお金が必要でしたし、スタッフにご飯をおごるのにもお金がたくさんかかりました」と返答し、会場は大いに沸いた。

さらに『金管五重奏のための喇叭吹きの憂鬱』の古谷大地監督(日本大学芸術学部)は「一番苦労したのは尺でした。大学の規定で20分と決まっていたので、3割ぐらいのシーンをカットすることになりました。ただそれでも演奏シーンだけは、1箇所も削ってなるものかと思って。そこはこだわって残したという感じですね」と返答。

『バックパイク』のキム・ウンソ監督(韓国映画アカデミー)は「この映画では水中撮影を行ったのですが、アーティスティックスイミングという種目は1日や2日、練習したくらいでできるようなスポーツではないので。俳優のキャスティングは非常に悩みました。最終的に、実際の青少年のアーティスティックスイミング選手をキャスティングしました。俳優ではないにもかかわらず一緒に演技の練習をしたんです。撮影監督も撮影のためにフリーダイビングの資格を取得するなど、水中撮影に集中することとなりました」と返答した。

続いて『国旗掲揚式前の12の瞬間』のチュー・ジージョン監督(北京電影学院)には、「この映画では最初から最後まで国旗が一度も映らなかったのですが、それは意図的に避けたのでしょうか?」という質問が。それにはチュー監督も「それはどの映画祭に行っても聞かれる質問なので聞いていただいてありがたいです。タイトルには旗とありますが、議論の焦点はそこにはありません。この映画で描きたかったのは、現代社会が成果主義に傾いているということ、誰もが自分の業績を追求してしまっているということ。ですから旗が登場するかどうかは重要ではないんです」と明かす。

そして最後に『永遠とその1日』のチェン・リーシュエン監督(台湾藝術大学)に「自分にとってのチャレンジ」について質問が。それには「実はこれがわたしが初めて撮った劇映画なんです。初めての監督作なので、すべてが新しい試みであり挑戦でした。特に挑戦的だったのは、学校で起こった重要なシーンです。当時、スタッフを含めた皆の雰囲気が非常に重く、誰もが大声で話すことができませんでした。俳優がその内容に合った雰囲気を醸し出せるように、照明や美術、そして事前のリハーサルに非常に多くの時間を費やしました。そのシーンでは少なくとも5、6回以上はリハーサルを行い、本番の撮影に臨みました」と明かした。
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