第38回東京国際映画祭で11月4日、コンペティション作品『
金髪』の舞台挨拶が東京・丸の内ピカデリーで行われ、岩田剛典、白鳥玉季、山田真歩、田村健太郎、内田慈、坂下雄一郎監督が出席した。
岩田が、若⼿でも中年でもない年頃で自分を客観視できていない“イタい”中学校教師・市川を演じた本作。前代未聞の集団金髪デモに立ち向かう市川の奮闘を通して、日本独特のおかしな校則、教師のブラックな職場環境、暴走するSNSやネット報道という社会問題をシニカルに描く。
みっともなくてダサい主人公を演じた岩田はこの日、クールなメガネ姿で登場。「今日のためだけに金髪にしてまいりました」と切り出しつつ、「ウソです」と茶目っけたっぷりに語り会場の笑いを誘った。オファーが舞い込んだのは2年ほど前とのこと。「脚本を読ませていただいて、すぐにぜひやりたいと思った。脚本力に魅了された作品。耳が痛くなるような世代間の話でもありますので、ある意味、市川という教師を反面教師として思っていただきたい。それぞれの世代でいろいろな楽しみ方のできるコメディになっているんじゃないかと思います」と上映前の会場にアピールしていた。
©2025 TIFF
市川の人生を大きく変えることになる“金髪デモ”の発起人であり、市川のクラスの生徒・板緑を演じた白鳥は、「板緑は、芯のある子。演じる前もどんなふうにしゃべるのか、どんなふうに歩くのか。どんなふうに先生と対峙するのか、すごく考えた」と役作りを回想。「金髪の姿になることによって、自分が家で考えていたよりも、板緑の気持ちに近づけるような感覚があった」と金髪ウィッグに感謝していた。
市川が唯一軽口を叩ける同僚の中本役の山田は、「学生の時に教師を目指していた」とのこと。「中本はルールから絶対に出ない、枠から出ない人。市川先生が困っていても、「大変だね」と言いながら傍観者でいる人」とルール的には完璧な先生でありながら、「もし中学生の時にこういう先生に習ったら、卒業した途端に記憶から消えてしまうような感じがする」と苦笑いを見せていた。
市川の大学の同級生で、彼の良き相談相手・駒井役を担当した田村と、市川の恋人である赤坂(門脇麦)の同僚である西原役を演じた内田は、これまでにも坂下作品に出演した経験がある2人。田村は、「(撮るのが)めちゃくちゃ速い」と坂下監督の現場の印象を明かし、「何かを言ってくれるわけでもない(笑)。「そんな感じで大丈夫です」とぼそっと言って、帰っていく。「このシーン、今ので終わったんですか…?」という感じがあるけれど、完成してみると仕上がっている。気づかぬうちに、手のひらにいたみたいな感じ」とニッコリ。坂下監督の観察眼に惚れ込んでいるという内田も、「お会いした当初は、本当に何を考えているかわからなかった。ほぼ笑わないし、笑わないのかなと思うとモニター前でクスクスしていたり」と続いて周囲を笑わせながら、「今回はちょっと笑顔を出してくれるようになっていた。監督も愛想笑いができるようになって、大人になったんだなと思いました」と面白い監督だと目尻を下げていた。
その坂下監督は、「校則という題材は、自分とは距離感のあるものだった」とオリジナル脚本に挑んだ当初の心境を口にしながら、「作っていくうちに、主人公のセリフや年齢が近く、共感できるようなキャラクターになっていった。距離の遠い題材と、距離の近い主人公による、変わった合わせ技のような作品になった」と力強くコメント。「全世代が共感できる映画」と完成作に胸を張った岩田は、「世代間のギャップや、人が成長していくにつれて持っている価値観や常識が少しずつ変わっていくこと。そのボタンの掛け違いみたいなものが、描かれている。頭を空っぽにして、純粋に楽しんでいただきたい」と熱っぽく呼びかけていた。
第38回東京国際映画祭は10月27日~11月5日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。『金髪』は11月21日から全国公開。
第38回東京国際映画祭で11月4日、コンペティション作品『
金髪』の舞台挨拶が東京・丸の内ピカデリーで行われ、岩田剛典、白鳥玉季、山田真歩、田村健太郎、内田慈、坂下雄一郎監督が出席した。
岩田が、若⼿でも中年でもない年頃で自分を客観視できていない“イタい”中学校教師・市川を演じた本作。前代未聞の集団金髪デモに立ち向かう市川の奮闘を通して、日本独特のおかしな校則、教師のブラックな職場環境、暴走するSNSやネット報道という社会問題をシニカルに描く。
みっともなくてダサい主人公を演じた岩田はこの日、クールなメガネ姿で登場。「今日のためだけに金髪にしてまいりました」と切り出しつつ、「ウソです」と茶目っけたっぷりに語り会場の笑いを誘った。オファーが舞い込んだのは2年ほど前とのこと。「脚本を読ませていただいて、すぐにぜひやりたいと思った。脚本力に魅了された作品。耳が痛くなるような世代間の話でもありますので、ある意味、市川という教師を反面教師として思っていただきたい。それぞれの世代でいろいろな楽しみ方のできるコメディになっているんじゃないかと思います」と上映前の会場にアピールしていた。
©2025 TIFF
市川の人生を大きく変えることになる“金髪デモ”の発起人であり、市川のクラスの生徒・板緑を演じた白鳥は、「板緑は、芯のある子。演じる前もどんなふうにしゃべるのか、どんなふうに歩くのか。どんなふうに先生と対峙するのか、すごく考えた」と役作りを回想。「金髪の姿になることによって、自分が家で考えていたよりも、板緑の気持ちに近づけるような感覚があった」と金髪ウィッグに感謝していた。
市川が唯一軽口を叩ける同僚の中本役の山田は、「学生の時に教師を目指していた」とのこと。「中本はルールから絶対に出ない、枠から出ない人。市川先生が困っていても、「大変だね」と言いながら傍観者でいる人」とルール的には完璧な先生でありながら、「もし中学生の時にこういう先生に習ったら、卒業した途端に記憶から消えてしまうような感じがする」と苦笑いを見せていた。
市川の大学の同級生で、彼の良き相談相手・駒井役を担当した田村と、市川の恋人である赤坂(門脇麦)の同僚である西原役を演じた内田は、これまでにも坂下作品に出演した経験がある2人。田村は、「(撮るのが)めちゃくちゃ速い」と坂下監督の現場の印象を明かし、「何かを言ってくれるわけでもない(笑)。「そんな感じで大丈夫です」とぼそっと言って、帰っていく。「このシーン、今ので終わったんですか…?」という感じがあるけれど、完成してみると仕上がっている。気づかぬうちに、手のひらにいたみたいな感じ」とニッコリ。坂下監督の観察眼に惚れ込んでいるという内田も、「お会いした当初は、本当に何を考えているかわからなかった。ほぼ笑わないし、笑わないのかなと思うとモニター前でクスクスしていたり」と続いて周囲を笑わせながら、「今回はちょっと笑顔を出してくれるようになっていた。監督も愛想笑いができるようになって、大人になったんだなと思いました」と面白い監督だと目尻を下げていた。
その坂下監督は、「校則という題材は、自分とは距離感のあるものだった」とオリジナル脚本に挑んだ当初の心境を口にしながら、「作っていくうちに、主人公のセリフや年齢が近く、共感できるようなキャラクターになっていった。距離の遠い題材と、距離の近い主人公による、変わった合わせ技のような作品になった」と力強くコメント。「全世代が共感できる映画」と完成作に胸を張った岩田は、「世代間のギャップや、人が成長していくにつれて持っている価値観や常識が少しずつ変わっていくこと。そのボタンの掛け違いみたいなものが、描かれている。頭を空っぽにして、純粋に楽しんでいただきたい」と熱っぽく呼びかけていた。
第38回東京国際映画祭は10月27日~11月5日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。『金髪』は11月21日から全国公開。