2025.11.06 [イベントレポート]
「映画を作る時は体験や経験をベースにしていますが、人生の中では暗い面もたくさんあります」11/4(火)Q&A『遥か東の中心で』

遥か東の中心で

©2025 TIFF
11/3のQ&Aに登壇された際のアラシュ・アニシー監督

 
11/4(火)アジアの未来部門『遥か東の中心で』上映後、アラシュ・アニシー監督をお迎えし、Q&Aが行われました。
→ 作品詳細
 
 
アラシュ・アニシー監督(以下、監督):皆さん、こんにちは。私は初めて日本に来まして、大好きな日本映画を生んだこの国での上映となり、とてもうれしく思います。今日はわざわざお越しいただき本当にありがとうございます。
 
司会:石坂健治シニア・プログラマー:私から最初に伺います。引用の文章が出て、チェーホフとマフムード・ダルウィーシュの引用が2つ出ましたけども、どういうお考えであの引用にしましたか。
 
監督:主人公の監督であるソガンドが言うセリフには、「人生はアンフェアである」ということを意味するかと思います。暗い終わりでみんなが行き止まりになってしまうような感じの終わり方です。
それで、アラブの詩人であるダルウィーシュの言葉を借りて思ったことはたとえ暗いところでも何か小さくても明るい部分を見つけたほうがいい、ということを感じ、考えて入れました。
映画を作る時は自分の体験とか経験しているものをベースに、映画を制作していますが、人生の中では暗い面もたくさんあります。その暗い部分を描く時は、詩人であるダルウィーシュが言ったように、例えば「夜でも歌えば」という感覚を描いた方が良いと思いました。そのようなイメージで映画を作っています。
 
──Q: 撮影した場所で意識したことはありますか
 
監督:場所的には、イランの南の方、フーゼスターン州というところです。アートディレクター担当が生まれ育った場所に近いところで、デズフールという街です。大きな美術文化センターで、しばらく使われておらず、誰も入らない空き地になっていたその場所を借りて、撮影しようと思いました。というのもこの場所なら自分のイメージする複雑な話に合っているし、映像的にもとても綺麗なところだ思い、絶対にこの映画をここで撮影したいと言って、選んで撮影した場所です。
 
──Q:音楽は少ない印象ですが、シアバシュ・ゴメイシの曲が流れていたシーンがありました。あのシーンにあの曲を使った意味を教えてください。
 
監督:あえて意味がわかるような使い方はしたくなかったので、ただ、その空間で合うようなメロディを選びたかったのです。シアバシュ・ゴメイシというシンガーにはヒーリング的な感じを受けていましたので、その歌を入れたシーンは、嵐の前の静けさを、イメージしたので静かな音楽を選ぼうと、その歌詞は全く関係なく使用しました。
 
──Q:オープニングとエンディングのアニメーションについてお教えください
 
監督:キャラクターの夢を描く時、どうやって描けばいいかを考えていて、ファンタジー的に描くのがいいかと思い、アニメを考えていました。
エンディングも、オープニングと同様にアニメを使ったほうが、結果としての苦いところと暗くなるところを抑えられのではと思いました。詩人のダルウィーシュについての話しの時にも「夜でも、暗いときでも歌えば」と言いましたが、人生の暗い部分を描いていて、観客の心まで悲しくさせるのはいけないのでは、ということも考えたので、アニメを使用しました。
 
──Q:映画は“ファルハド・アフマデイ”という建築家の方に捧げるとなっていましたが映画には関係されているのでしょうか。もう一つ、タイトルについて教えてください。
 
監督:ロケ地が建築家のファルハド・アフマディが1988年に作った場所でした。その場所を使いましたので、彼に捧げるのが良いかなと思いました。
タイトルは感情的に選んだタイトルなので、説明するのが少し難しいです。曖昧さや感覚的な部分から生まれたので説明することで混乱されたら申し訳ありません。映画の中で起きるべきではないことが起きているということで、我々自身からは遥か遠いところでの出来事として起こっているということが説明の一つになるのでは、と思います。

プラチナム パートナー