
©2025 TIFF
 
19世紀末のイタリアを舞台に、男と女の波乱に満ちたドラマを壮大な映像美とユーモアを交えて描く『裏か表か?』が、第38回東京国際映画祭のコンペティション部門で公式上映された。来日したアレッシオ・リゴ・デ・リーギ監督、マッテオ・ゾッピス監督が、囲み取材に応じた。
【『
裏か表か?』あらすじ・概要】
イタリアの小さな村に、アメリカ人バッファロー・ビルの一座が訪れる。地主の命令で、コイントスで選ばれたサンティノとバッファロー・ビルが馬術対決を行うが、ひと悶着が起き、地主の息子の妻ローザとサンティノの逃避行が始まる……という物語。実在した興行師バッファロー・ビル役を名優ジョン・C・ライリーが演じている。
──賞金稼ぎ、アクション、ロマンス、そして自身で自分の道を選ぶ女性……とさまざまな要素が含まれたドラマです。途中で『ガルシアの首』(サム・ペキンパー監督作)も想起させるような、あっと驚く展開もありました。
ヨーロッパを舞台とした“アンチウエスタン”(反西部劇)がテーマですが、これは冒険譚であり、主人公が望まない結婚から脱出して自由になる解放の物語でもあり、『俺たちに明日はない』のボニー&クライドのような逃避行もあり、様々なジャンルを感じていただけると思います。脚本でなにより重要だったのはキャラクターです。特にローザがどう変わっていくか、そこに物語の重きをおきました。
──フランス映画『ロザリー』で、“ヒゲのマダム”を好演したナディア・テレスキウィッツが、勇敢な主人公のローザを演じています。彼女の起用の理由を教えてください。
ローザは、自分の国ではないところで生活をしている外国人という設定なので、まずはキャスティングディレクターを介して、ナディアを知り、最初に会ったのがナディアだったのです。オーディションに来た彼女を一目見て、ローザ役に決めました。彼女は素晴らしい女優です。
そして、ナディアと共にローザのキャラクターを作っていきました。私たちは、ロバート・アルトマンの西部劇『ギャンブラー』のジュリー・クリスティが好きで、ローザのルックスやふるまいは彼女をイメージした部分もあります。
──自然豊かなイタリアの田舎、本格的な乗馬シーン、テレンス・マリック作品も彷彿させるマジックアワーなど、映画館の大スクリーンでその風景の美しさを堪能できる作品でもあります。ロケーションのこだわりを教えてください。
この物語はローマから始まります。そういった地域性はできるだけリアルにしたいと考えました。ローマから南に逃げて、そして船に乗ってアメリカに渡る、そういう流れです。途中で沼に嵌ったり、さまざまな生き物が出てきたり……と、現代の作品では見られないような光景も映しますが、それは、ローザの気持ちや感情を表す心象風景でもあるのです。
1960~70年代に作られた“マカロニウエスタン”と呼ばれるジャンルは、イタリアやスペインなどヨーロッパで撮影をしていますが、物語はアメリカとメキシコの国境という設定で作られています。ですから、この映画では実際のイタリアを舞台にし、イタリアの歴史が感じ取れるようなロケーションを選ぶことが重要でした。
──おふたりは日本の訪問を楽しみにされていたそうですね。これから作品を鑑賞する観客にメッセージをお願いします。
私たちが子供の頃は日本の漫画やアニメを見て育っているんです。ですから、今回そのイメージを持って日本に来て、もちろん当然ながら漫画と実際の日本は違う部分もありますが、なんとなく懐かしさを感じました。そして、我々は日本の映画も大好きです。常にいろんな日本の映画のことを話しながら作品を作っているんです。そして、日本の皆さんがどのようにこの映画を観てくださるのか、非常に興味があります。
第38回東京国際映画祭は11月5日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。『裏か表か?』は、10月31日ヒューリックホール東京にて18:55~、11月3日ヒューマントラストシネマ有楽町にて20:20~上映。チケットは公式HPオンラインチケットサイトで発売中。                
                
©2025 TIFF
 
19世紀末のイタリアを舞台に、男と女の波乱に満ちたドラマを壮大な映像美とユーモアを交えて描く『裏か表か?』が、第38回東京国際映画祭のコンペティション部門で公式上映された。来日したアレッシオ・リゴ・デ・リーギ監督、マッテオ・ゾッピス監督が、囲み取材に応じた。
【『
裏か表か?』あらすじ・概要】
イタリアの小さな村に、アメリカ人バッファロー・ビルの一座が訪れる。地主の命令で、コイントスで選ばれたサンティノとバッファロー・ビルが馬術対決を行うが、ひと悶着が起き、地主の息子の妻ローザとサンティノの逃避行が始まる……という物語。実在した興行師バッファロー・ビル役を名優ジョン・C・ライリーが演じている。
──賞金稼ぎ、アクション、ロマンス、そして自身で自分の道を選ぶ女性……とさまざまな要素が含まれたドラマです。途中で『ガルシアの首』(サム・ペキンパー監督作)も想起させるような、あっと驚く展開もありました。
ヨーロッパを舞台とした“アンチウエスタン”(反西部劇)がテーマですが、これは冒険譚であり、主人公が望まない結婚から脱出して自由になる解放の物語でもあり、『俺たちに明日はない』のボニー&クライドのような逃避行もあり、様々なジャンルを感じていただけると思います。脚本でなにより重要だったのはキャラクターです。特にローザがどう変わっていくか、そこに物語の重きをおきました。
──フランス映画『ロザリー』で、“ヒゲのマダム”を好演したナディア・テレスキウィッツが、勇敢な主人公のローザを演じています。彼女の起用の理由を教えてください。
ローザは、自分の国ではないところで生活をしている外国人という設定なので、まずはキャスティングディレクターを介して、ナディアを知り、最初に会ったのがナディアだったのです。オーディションに来た彼女を一目見て、ローザ役に決めました。彼女は素晴らしい女優です。
そして、ナディアと共にローザのキャラクターを作っていきました。私たちは、ロバート・アルトマンの西部劇『ギャンブラー』のジュリー・クリスティが好きで、ローザのルックスやふるまいは彼女をイメージした部分もあります。
──自然豊かなイタリアの田舎、本格的な乗馬シーン、テレンス・マリック作品も彷彿させるマジックアワーなど、映画館の大スクリーンでその風景の美しさを堪能できる作品でもあります。ロケーションのこだわりを教えてください。
この物語はローマから始まります。そういった地域性はできるだけリアルにしたいと考えました。ローマから南に逃げて、そして船に乗ってアメリカに渡る、そういう流れです。途中で沼に嵌ったり、さまざまな生き物が出てきたり……と、現代の作品では見られないような光景も映しますが、それは、ローザの気持ちや感情を表す心象風景でもあるのです。
1960~70年代に作られた“マカロニウエスタン”と呼ばれるジャンルは、イタリアやスペインなどヨーロッパで撮影をしていますが、物語はアメリカとメキシコの国境という設定で作られています。ですから、この映画では実際のイタリアを舞台にし、イタリアの歴史が感じ取れるようなロケーションを選ぶことが重要でした。
──おふたりは日本の訪問を楽しみにされていたそうですね。これから作品を鑑賞する観客にメッセージをお願いします。
私たちが子供の頃は日本の漫画やアニメを見て育っているんです。ですから、今回そのイメージを持って日本に来て、もちろん当然ながら漫画と実際の日本は違う部分もありますが、なんとなく懐かしさを感じました。そして、我々は日本の映画も大好きです。常にいろんな日本の映画のことを話しながら作品を作っているんです。そして、日本の皆さんがどのようにこの映画を観てくださるのか、非常に興味があります。
第38回東京国際映画祭は11月5日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。『裏か表か?』は、10月31日ヒューリックホール東京にて18:55~、11月3日ヒューマントラストシネマ有楽町にて20:20~上映。チケットは公式HPオンラインチケットサイトで発売中。