第38回東京国際映画祭でコンペティション部門に選出された『
恒星の向こう側』が10月29日、丸の内ピカデリー2で公式上映され、俳優の寛一郎、河瀨直美、中川龍太郎監督が舞台挨拶に立ち、和気あいあいとキャスティング裏話を語り合った。
本作は『走れ、絶望に追いつかれない速さで』『四月の永い夢』の中川監督が挑む3部作の最終章。母の余命を知り故郷に戻った娘・未知と、母・可那子が衝突を重ねる。夫・登志蔵との間に子を宿しながらも、亡き親友への想いに揺れる彼の姿に不安を募らせる未知だったが、やがて母の遺したテープから“もう1つの愛”を知ることに。
『走れ、絶望に追いつかれない速さで』が第28回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で入選上映された中川監督は「そこから監督としてのキャリアが始まりました。こうして、10年以上の時間を経て、新しい仲間と一緒に本場に戻ってこられて、とても嬉しいです」と喜びを口にした。
今回は映画監督ではなく、俳優として登壇した河瀨は「こういった舞台挨拶は監督として出ることが大部分なので、何を言ったらいいのか……」と戸惑いながらも「今日はこの作品を観に来てくださってありがとうございます」と挨拶をした。
中川監督は本作について「原点回帰というか、自分の中では最初に映画を撮っていた時の気持ちに戻って作った作品です。それを東京国際映画祭で(プログラミングディレクターの)市山(尚三)さんに選んでいただいて上映できるってことはすごく感慨深いです」と胸中を明かす。
河瀨といえば、『光』『朝が来る』などで知られる日本を代表する監督だが、本作では母親役を演じた。「いつも自分の映画では、俳優に対して、しっかり役積みをして、役そのものになってほしいと言っているので、そういう役割を、若手で第一線を行く中川監督からやってほしいと言われた時、「そういうことできません」とは一切言えず。もうやるしかないと、命を懸けてやりました」と苦笑い。
中川監督は、母親役を河瀨にオファーしたことについて「皆さんもご存知の通り、河瀬さんは映画監督の中でも一番緊張するような感じもありますが、実は僕、河瀨さんの映画にも少しだけ出演させていただいてて。その時、河瀬さんの人としての存在感がすさまじいものがありまして。俳優は技術だけではなくて、魂として存在感があることがすごく重要だと思っているし、本当にパワーの必要な役だったから、これは直美さんしかいないと思って怖かったけど、オファーした感じです」と経緯を話した。
ちなみに寛一郎も含め、3人は俳優、監督として何度も一緒に仕事をしているそうで「ここ、ファミリーみたい」と笑いあった。
寛一郎は「偶然の連鎖というか、中川監督は20代前半の時から知っています。役者としても共演していて。今回もいろいろ話して、作品のオファーをいただいた。(主演の)福地桃子さんとも共演したことがあって。お母さん役は誰?となって、河瀨さんと聞いた時、マジで!? となったのを覚えています」とキャスティングに驚きを隠せなかったようだ。
河瀨は、それを受け「だから次は、(寛一郎が)監督にならなあかん」と言うと、中川監督も「俺、出るよ」とノリノリの様子。河瀨も「私も高いけど、出るよ」とニンマリ話すと、寛一郎は「いやあ……。嫌ですね。面倒くさいし」と苦笑いし、会場の笑いを誘った。
劇中で演出家の役を演じた寛一郎は、中川監督から「すごいさまになっていた」とお墨付きをもらう。寛一郎は「僕の役は中川さんをベースに作りました。ずっと中川さんを観察しながらやったんです」と役作りについて明かす。
中川監督は「今回の映画は、過去に自分の作品に出てくれた方ばかり出ているので、(寛一郎が演じた)監督の演出を見たら、みんなが笑ってて。演出の仕方や歩き方などがそっくりだよと」と楽しそうに語る。河瀨も、「中川監督の集大成です。2000近くの中からの(コンペティションの)15作品に選ばれたので」と心から称えた。
第38回東京国際映画祭は、11月5日まで開催。
第38回東京国際映画祭でコンペティション部門に選出された『
恒星の向こう側』が10月29日、丸の内ピカデリー2で公式上映され、俳優の寛一郎、河瀨直美、中川龍太郎監督が舞台挨拶に立ち、和気あいあいとキャスティング裏話を語り合った。
本作は『走れ、絶望に追いつかれない速さで』『四月の永い夢』の中川監督が挑む3部作の最終章。母の余命を知り故郷に戻った娘・未知と、母・可那子が衝突を重ねる。夫・登志蔵との間に子を宿しながらも、亡き親友への想いに揺れる彼の姿に不安を募らせる未知だったが、やがて母の遺したテープから“もう1つの愛”を知ることに。
『走れ、絶望に追いつかれない速さで』が第28回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で入選上映された中川監督は「そこから監督としてのキャリアが始まりました。こうして、10年以上の時間を経て、新しい仲間と一緒に本場に戻ってこられて、とても嬉しいです」と喜びを口にした。
今回は映画監督ではなく、俳優として登壇した河瀨は「こういった舞台挨拶は監督として出ることが大部分なので、何を言ったらいいのか……」と戸惑いながらも「今日はこの作品を観に来てくださってありがとうございます」と挨拶をした。
中川監督は本作について「原点回帰というか、自分の中では最初に映画を撮っていた時の気持ちに戻って作った作品です。それを東京国際映画祭で(プログラミングディレクターの)市山(尚三)さんに選んでいただいて上映できるってことはすごく感慨深いです」と胸中を明かす。
河瀨といえば、『光』『朝が来る』などで知られる日本を代表する監督だが、本作では母親役を演じた。「いつも自分の映画では、俳優に対して、しっかり役積みをして、役そのものになってほしいと言っているので、そういう役割を、若手で第一線を行く中川監督からやってほしいと言われた時、「そういうことできません」とは一切言えず。もうやるしかないと、命を懸けてやりました」と苦笑い。
中川監督は、母親役を河瀨にオファーしたことについて「皆さんもご存知の通り、河瀬さんは映画監督の中でも一番緊張するような感じもありますが、実は僕、河瀨さんの映画にも少しだけ出演させていただいてて。その時、河瀬さんの人としての存在感がすさまじいものがありまして。俳優は技術だけではなくて、魂として存在感があることがすごく重要だと思っているし、本当にパワーの必要な役だったから、これは直美さんしかいないと思って怖かったけど、オファーした感じです」と経緯を話した。
ちなみに寛一郎も含め、3人は俳優、監督として何度も一緒に仕事をしているそうで「ここ、ファミリーみたい」と笑いあった。
寛一郎は「偶然の連鎖というか、中川監督は20代前半の時から知っています。役者としても共演していて。今回もいろいろ話して、作品のオファーをいただいた。(主演の)福地桃子さんとも共演したことがあって。お母さん役は誰?となって、河瀨さんと聞いた時、マジで!? となったのを覚えています」とキャスティングに驚きを隠せなかったようだ。
河瀨は、それを受け「だから次は、(寛一郎が)監督にならなあかん」と言うと、中川監督も「俺、出るよ」とノリノリの様子。河瀨も「私も高いけど、出るよ」とニンマリ話すと、寛一郎は「いやあ……。嫌ですね。面倒くさいし」と苦笑いし、会場の笑いを誘った。
劇中で演出家の役を演じた寛一郎は、中川監督から「すごいさまになっていた」とお墨付きをもらう。寛一郎は「僕の役は中川さんをベースに作りました。ずっと中川さんを観察しながらやったんです」と役作りについて明かす。
中川監督は「今回の映画は、過去に自分の作品に出てくれた方ばかり出ているので、(寛一郎が演じた)監督の演出を見たら、みんなが笑ってて。演出の仕方や歩き方などがそっくりだよと」と楽しそうに語る。河瀨も、「中川監督の集大成です。2000近くの中からの(コンペティションの)15作品に選ばれたので」と心から称えた。
第38回東京国際映画祭は、11月5日まで開催。