2025.11.02 [イベントレポート]
サッカー選手を目指す主人公、演じた女優の実父はC・ロナウドと深い縁!コンペティション作品『マリア・ヴィトリア』インタビュー
マリア・ヴィトリア
©2025 TIFF
 

プロサッカー選手を目指す少女が、未来を切り開く姿を描いたポルトガル映画『マリア・ヴィトリア』が第38回東京国際映画祭のコンペティション部門で公式上映された。主人公を演じるマリアナ・カルドーゾ、共演するミゲル・ボルジェスとミゲル・ヌネス、本作が監督デビューとなるマリオ・パトロシニオが来日し、取材に応じた。

【『マリア・ヴィトリア』あらすじ・概要】
ポルトガルの山岳地帯の町に暮らすマリア・ヴィトリア(マリアナ・カルドーゾ)は、プロのサッカー選手を目指して、父(ミゲル・ボルジェス)をコーチとしてトレーニングに励む日々を送っている。

そんな彼女の日常は、母が亡くなった後、家を出て何年も消息を絶っていた兄(ミゲル・ヌネス)が突然戻ってきたことにより大きく揺さぶられる。兄と激しく対立する父の姿を見るにつれ、マリアはそれまで大きな存在だった父の権威に疑念を抱きはじめる。

そして、マリアにとって重要な試合の日がやってくる。父の呪縛から逃れて、自力で未来を開拓しようとするヒロインを力強く描いた作品。親子3人の濃密なドラマが美しい風景の中で展開する。

──まず、パトロシニオ監督にうかがいます。第38回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出されたお気持ちを教えてください。ご自身は幼少期、熊本県で過ごしたそうですね。

マリオ・パトロシニオ監督「初めての監督作品で、東京国際映画祭に招待していただき、とても光栄に思っています。そして、おっしゃる通り、私は両親の仕事の都合で、8歳から10歳まで熊本で暮らしていました。現地にある一般的な小学校に通っていたんです。印象に残っているのは、剣道ですね。剣道を通して、和を重んじる心、お互いに敬意を持つ精神を学んだ気がします。いつか、日本で映画を製作できればとも思っています。

──マリアナさんは、プロ選手を夢見るゴールキーパーを演じています。劇中では、素晴らしい身体的パフォーマンスも披露していますが、どのように準備をしたのか教えてください。

マリアナ・カルドーゾ「役柄を演じる上で、感情への理解や共感も必要ですが、今回は、肉体的なアプローチから入りました。ゴールキーパーに求められるのは、やはり持久力ですね。実は、私の実父がサッカーチームのコーチをやっていて、サッカー界や家族との関係については自分なりに知っているつもりなので、そういった実体験も多少、役作りに有効だったかもしれません」

──ポルトガルのサッカーといえば、クリスティアーノ・ロナウドですよね。

マリアナ・カルドーゾ「父はユースチームのコーチをしていて、幼少期のロナウド選手を知っているんです。当時から才能は抜きん出ていましたが、私の父の推薦があって、プロの道を歩むきっかけにもなっていて。ですから、私たち家族とは非常に縁が深い存在なんです」

──それはすごいエピソードですね!

マリアナ・カルドーゾ「私自身はサッカー経験がなかったので、父からは『お前に、ゴールキーパーなんて無理だ』って言われたんですけど(笑)」

マリオ・パトロシニオ監督「言わずもがな、ポルトガル人にとって、サッカーは生活の一部。ロナウド選手の活躍が、ポルトガルを世界に知らしめてくれてもいる。特に地方の若者にとっては、サッカーは故郷を飛び出して、大金を稼ぐチャンスを与えてくれる一種の“夢”でもある。同時にそれは、何を狂信的、あるいは妄信的に追い求めるメタファーとしても位置付けることができるのです」

──そんな娘の夢を支える父親を演じるのが、ミゲル・ボルジェスさん。非常に寡黙な役柄にも見えましたが、どのようなアプローチを試みましたか?

ミゲル・ボルジェス「私自身、あまり言葉巧みなタイプではないので、キャラクターの感情を肉体的な表現で演じる今回の演技は、非常にやりがいがありました。どこか動物的なアプローチも求められた気がしますね。いま、あなたは寡黙という言葉で表現してくれましたが、同時に深遠で多層的な人物でもある。つまり、俳優であれば、誰しも演じたいと思うキャラクターであり、それをパトロシニオ監督が生み出してくれたというわけです」

──そして、もう1人のミゲルであるミゲル・ヌネスさんは、家族を揺さぶることになる兄・ブルーノを演じています。

ミゲル・ヌネス「一度は飛び出した家に、再び戻ってくるわけですが、彼の心には家族からの疎外感や孤独があったと思うんです。自分の声、自分の存在を認めてほしいけれど、ブルーノにしてみると、父もマリアも自分の声を聞こうとしない“猛獣”に見える。そんな葛藤をどう表現するか深く考えました。また、自分の帰郷が、マリアの家族に対する価値観に変化を及ぼすので、その点も重要なアプローチでした」

第38回東京国際映画祭は10月27日~11月5日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。『マリア・ヴィトリア』は11月4日、TOHOシネマズ日比谷で午後1時20分から上映。チケットはオンラインチケットサイトで発売中。
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